再生不良性貧血(原爆性白血病)も消化器障害から 千島喜久男
広島の原爆症研究所(ABCC)では、終戦当時から『被爆によって骨髄組織が破壊されて赤血球造血がおこなわれないために貧血になり、白血球数が著しく多くなるのだ』と考え、毎日、骨髄組織を調べていた。
そこで私は骨髄造血説否定の英文論文と、『白血病の主要原因は被曝により胃腸粘膜が破壊されているにちがいいない。そのために腸造血が妨げられて悪性貧血に陥るのだから、ムダな骨髄穿刺などを止めて、胃腸の恢復をはかるように努力されるべきだ』という手紙を送った所、“お説をよく検討してみます”という返事は来たが、その後、一向に便りがない。私の腸造血説は、革新の8大原理のすべてと関連しているのだから、第5原理だけ見たのでは充分理解できなかったためであろう。
しかし、現実に、広島、長崎に原爆が投下されて、即死しない被爆者で数日間以上生存していたものは、ほとんどが、原爆性赤痢にかかり血便を排したことが原爆調査報告にはっきり記載されている。
これは腸粘膜が被曝によって破壊され、血管が露出して出血したものと推定出来る。勿論、精神的ショックや生活条件の急激な変化も関係しているだろうが、いずれにしても腸粘膜の破壊が主要な原因であると推論できる。
一般の白血病も臨床血液学者Wintrobeによれば『白血病には著明な消化器障害を伴うことは周知の事実である。著明な場合は消化器病と誤診する場合もあるという』これは誤診ではなく、私見によれば胃腸障害が主なる原因なのである。
白血病に限らず、一般貧血の場合、身体は次第に衰弱し痩せてくるが、肝臓と脾臓は著しく肥大し、場合によっては正常の数倍以上の大きさになる。この原因は肝や脾の赤血球貪食細胞が活発に働き赤血球を捕食するためだと解されている。
しかし、このような考え方は誤りである。肝や脾で赤血球は一応崩壊するような形に変わって、いわゆる赤血球モネラとなり、その中に細胞核を新生して肝や脾の細胞へ分化(第1原理、赤血球分化説)するのである。
また貧血や白血病の場合に、体の諸組織にはリンパ球がよく現れることも知られている。これは私見によれば、体の各種組織が胃腸障害のために赤血球造血がうまく行われないために、その不足を補うために各種組織から血球へ逆分化(第2原理、栄養状態の変化のために組織から血球への逆分化説)の一過程であると解してよい。
化学療法や放射線療法は一時的に赤血球を増すかもしれないが、根本的に消化器を恢復させ腸造血を促すものとは考えられない。むしろ逆効果があるものと考えられる。
私見によれば、気血動の調和、即ち、心身全体、特に消化器の健康恢復を図ること以外に道はない。


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