2025年8月8日金曜日

炎症は生体の防衛反応

 

 

 

 

生体の防衛反応

 

炎症の主役は血液中の赤血球                  千島喜久男

 

ほとんどの病気は炎症を伴う。肺炎、肋膜炎、気管支炎、肝炎、胃腸炎、等々ほとんどすべての臓器や組織の病気は急性乃至は慢性の炎症を伴って発生する。退行性の病気とされる肺結核でもガンでも最初は炎症を以て始まる。だから炎症は内科学の主要な課題である。

 

炎症の特徴は、紅、腫、熱、痛と機能障害の5大特徴があげられている。これは体の一定部位に対し、物理、化学的、細菌や微生物、あるいは精神的刺激が集中すると、その刺激に応じて生体の防衛反応として血液がそこへ集中する。そして局所は紅色を呈し、腫脹し、熱くなり、疼痛を感じ、その部の生理的機能が阻害されることになる。

 

病理組織学的に炎症組織を見れば血液の集中が一見してよく解る。このことは従来の医学でも解っていたが、炎症の部分における赤血球、白血球、膿球などの由来については、私見と大変違っている。

 

私見によれば、炎症部での主役は血管外に出た赤血球の病的分化である。

 

従来の病理学では炎症の部へは白血球がケモタキシス(化学的趣向性)によって集まり、食菌作用、酵素作用その他の働きで防衛体制をとり、細菌と闘って負けた白血球は膿となると考えられてきた。

 

しかし、肺結核、肺炎、肝炎、その他の炎症ではその部分に無数に血管外に出た赤血球があり、それが炎症部では比較的速やかに中性嗜好性白血球に分化し、つづいて各種炎症に特有な細胞へ変化(分化)してその臓器の容積を大きくする。

肝炎の場合は、赤血球→AFD現象→肝細胞→へと一連の移行像が認められる。

 

肺結核の粟粒結核病巣では粟粒結核結節ができ、その中心部では陥落変性(組織の壊死)し、その周縁にラングハン氏巨大細胞の層があり、最外囲にはリンパ球、プラズマ細胞、線維芽細胞などがそれをとり巻いている。

 

しかしここで重大なことが忘れられている。それは最外層には赤血球が多数散在し、それが上述各種の白血球の病巣部の外層の細胞へ分化し、それらがAFD過程で中層のラングハン氏巨大細胞(Langhashe Risenzellen)に分化し、それが更に退行崩壊してチーズ様の乾酪変性(最内層)に陥る移行像が認められるはずである。

 

ガン腫の場合は赤血球からリンパ球(小円形細胞または小皮細胞ともいわれる)を経て小型のガン細胞へ生長し、また赤血球のAFD現象によって大型のガン細胞への移行状態も見られる。

 

要するに結核結節でもガン腫のガン巣(ガン細胞の集塊)でも、それらの組織細胞の根源は赤血球であり、その分化によったものであることは、移行型の存在と、細胞分裂によって各種固有の細胞が形成されるという証拠がないことから判断できる。

 

炎症の種類は、形態学的に変性性炎症(臓器実質の変性著明)、滲出性炎(滲出液が多いもの)増殖性炎(実質組識が増殖するもの)などに分けられているが炎症はいずれもこの3つの症状を呈する。ただ、その程度の著明なものを分類されただけである。また特殊炎症として結核、ガン、ライ病、放線菌腫、リンパ肉芽腫等をそれに属させる学者もある。

 

また滲出性炎を漿液性、出血性、カタル性、化膿性、線維素性、偽膜性炎などにも分けられている。また急性炎、慢性炎の区別もあり、以前は1週間乃至10日以内の炎症急性炎症、それ以上長く続く場合は慢性炎症と呼ばれていたが最近はそのような区別があまり明確ではないようである。

 

要するに、すべての炎症は血液の刺激に応じて集中し、赤血球が炎症部位のすべての細胞や組織の母体であるというのが、私の確信をもって主張する赤血球分化説の一つである。

 

 



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