官能的精子・卵子の起原と血球分化の総括的備考 千島喜久男
(1) 各種動物を通じ生殖細胞は、血液及び血球を母体として細胞を新生し、卵子はそれ等の退行変性と融合によって形成され、精子は精子細胞の退行によるモネラ状物質(chaosの相)から新たに形成される。
(2) 睾丸内では細胞分裂像が身体中最も多く見られるが、分裂像を示す前の生殖細胞は分裂による相続ではなく、新生体細胞から分化するものであることを強調しておかなければならぬ。
(3) 生殖細胞の形成は動物細胞の原始への回帰と考えられる。卵子はアミーバの被嚢状態、精子は鞭毛中に相通ずるところが多いからである。
(4) 体細胞と生殖細胞とを相互に無関係、独立的だとすることは誤謬である。体細胞(血球)の移動、定着と分化によって生殖細胞が形成されるからである。
(5) 遺伝学は前述の如き生殖細胞の血球起原論を正しく理解して、始めて正しい理論を構成することができるだろう。
(6) 血球をもたない動物や植物の生殖細胞は、血球に該当する要素、例えば動物では間葉性細胞または遊走性細胞、植物では液状中のミクロンの融合と分化によることも今後明らかにされるだろう。
(7) 飢餓により睾丸と副睾丸及び卵巣組織は血管及び血球へ逆分化する。
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